
2020年頃テレビを新調したのを機に、SONOS Beam(Gen1) を導入して幸せなテレビライフを送っていましたが、このたびサウンドバーを新調しました。
理由は簡単に言うと「SONOS Beamがあまり好みではなかった」ということになります。Beamはそれなりに高額でしたので長いこと「サウンドバーとはこういうものだ」「人気のSONOS、このクラスでは最高なはず」「みんなが高評価してる」と自分に言い聞かせてきました。
ところが最近、音楽やラジオをBeamで聴くことが多くなり、この場合のBeamの音の悪さというか、不向きさが気になっていました。
端的に言うとBeamは音楽向きじゃない。
Beamが悪いのではなく、多くのサウンドバーがそうだと思います。製品の目的が映像コンテンツのサウンドの迫力やセリフの聞きやすさを増すことであって、音楽鑑賞用には作られていない。

構造や搭載されているスピーカーやパッシブラジエーターなどいかにも迫力の中低音用という感じではあります。
発する音もこの見た目通りで、誤解を恐れず言えば、音楽を再生したときの音質はさながら「ちょっといいAMラジオ」です。映像コンテンツのサウンド再生においては迫力もありますし、それほど不満はないのですが、個人的に音楽の再生能力については「鑑賞」できるレベルでは到底ありません。とにかくクリアな高音が出ない。低音はすごいんですけどね。
ここまでうるさいことを言うならサウンドバーをやめて分離したアクティブスピーカーなどにしろと言われるかもしれませんが、サウンドバーの設置性は捨てがたいのです。再生コンテンツの多くはテレビ番組ですし、我が家は極めて狭くスペースの問題は無視できません。
そこで色んなサウンドバーを調べまくった結果、音楽再生においてもある程度の能力を持つと謳うサウンドバーがいくつかありました。しかしその多くはバカ高い超ハイエンド機であり、さらに大きすぎてうちのテレビ台には設置できないのです。小型のサウンドバーはイコールエントリーグレードで、価格故に妥協の多いものが大半で、実際に試聴もしましたが、欲しいと思えるほどのものはありませんでした。
そんな中、「ゼンハイザーのサウンドバー」という聞いたことのない商品が目にとまりました。「あのゼンハイザーのサウンドバー?」日本の住宅事情にマッチしたコンパクトな筐体ながら、音楽再生においても妥協のないクオリティを謳う、ハイエンドサウンドバー。

SENNHEISER AMBEO Soundbar Mini(ゼンハイザー アンビオサウンドバー ミニ)がそれ。前置きが長くなりました!
さっそくいろいろ情報収集すべくレビューを漁りましたが、サンプル提供を受けたユーチューバーとアフィリエイトブロガーのPR記事ばかりで、自腹で購入した人の普通のレビューがほとんど見つかりません。Amazonなどで購入者のちょっとしたレビューは多少ありましたが、詳しい物はなかなかなく、BOSEやSONOSに比べると情報が極端に少ない。まぁ、この価格帯でこのサイズのサウンドバーって需要もないんでしょうねきっと。

この商品、元々はすごく高額ですが、どういうわけかどんどん値下がりしてほぼ半額になっています。半額でもかなり高額な部類ですが、SONOS Beam(Gen2)の市場価格と同等か少し高いくらいですから、無理して狙ってもいい範疇でしたので思い切って購入しました。
どんな音なのか
Ambeo Miniは公式のSmartControlアプリから設定を行います。いろいろなサウンドモードが用意されていますので、好みのモードを選べます。それぞれのモードの強度設定や4チャンネルのイコライザーで調整することも出来ます。また、SONOSのようなルームキャリブレーションも用意されています。また、モード切り換えなど頻繁に行う操作は専用の物理リモコンがあるのは、SONOS Beamと違って便利な点です。

購入しておいてなんですが、ゼンハイザーのイヤホンの音は個人的にあまり好きではありません。シャカシャカキンキンしていて聞き疲れるイメージしかないんですよね。しかし、ゼンハイザーのスピーカーというのはあまり聞いたことがありませんし、今回私が望んでいるのは音楽がまともに聴けるサウンドバー。SONOS Beamでマイルド一辺倒な音に嫌気が差していたので、少々尖ったくらいがちょうどいいかもしれない、という期待があります。
ではまず、サウンドバーとしての基本機能、映像コンテンツではどうでしょうか。主にSONOS Beamとの比較になります。ソースは通常のBlurayで大好きなバックトゥザフューチャーを観てみます。残念ながら古いBlurayプレーヤー&非対応ソフトでDolby Atmos対応ではなく通常のDolby Digitalです。

特徴的なのは中高音で、特に高音については秀逸で音声の聞き取りやすさも格別です。さらに声が聞き取りやすくなるVOICEモードも搭載しており、これをONにした場合の聞き取りやすさは無敵です。元々高音に強いことで声の「子音」部分が非常に聞こえやすく、言葉としてとても分かりやすく耳に届きます。また、音楽が主体のシーンではこのサウンドバーの本領発揮で、鑑賞できるレベルのサウンドでしっかり聴かせてくれます。低音については必要十分な量が出ていると個人的には思いますが、沈み込むような深い重低音というほどまでのものはなく、張りのあるタイトではっきりした良質な低音が特長となっています。無駄な重低音で情報として重要な音声部分が埋もれてしまうことがなく好印象です。先の「沈み込むような深い重低音」が欲しい場合はオプションのサブウーファーが必要でしょう。私が家で使用する分にはあまり必要とは思いませんでした。ちなみにスペック上の低音再生能力は43Hzとなっています。
私自身がDolby Atmosにあまり魅力を感じていないため興味そのものが薄いのですが、SmartControlアプリのサンプルサウンドを一通り聴いてみた結果、Dolby Atmosに対応したサウンドではさすがに素晴らしい音でした(語彙力)。まぁ、製品のサンプルですからね。でも、Dolby Atmosで言われるような「上から音が〜」とか、そういうとんでもない体験は残念ながら感じられず、あくまでも2chのサラウンドの延長線上にあるもの、という印象でした。

続いて通常一番利用時間の長い地上デジタルテレビ放送を視聴してみます。こちらも音声は非常に聞き取りやすくサウンドバーとしての役目を存分に果たしてくれます。慣れないうちは音声強調が強すぎると思うかもしれません(特にバラエティ番組などの音声中心のコンテンツ)。その場合は先述の通り、SmartControlアプリからエフェクトの量を弱めてやることもできますし、モードごとにイコライザーで好みの音質にすることもできますから、大抵のリクエストに応えることが出来ると思います。アプリは色々機能的で好感が持てますが、作りが雑なところも多少あります。しかし、アプリはリリース後のアップデートで育っていくものなので今後に期待したいです。

さて、こいつで音楽を聴いてみるとどうでしょうか。AirPlay2でiPhoneから音楽を再生してみます。今回この製品に最も期待した部分です。音楽再生においてもサウンドバーにしては高音がよく出ていて、作業中のBGM再生には十分すぎる高音質で再生してくれます。SONOS Beamではこの役目ではSONOSのチューニングが好みでなく気になって聴いていられないほど不満がありましたが、AMBEO Miniでは気になりません。もちろん、音楽再生に適したミニコンポやセパレートのアクティブスピーカーなどに比較してしまえば、細長いバー形状に全てを詰め込んだ「箱鳴り感」は否めず、専門外な感じはしますが、私のように「テレビも映画も音楽もこれひとつでやりたい」という場合は十二分に役目を果たしてくれるので、個人的には大変満足しています。

このサイズで4機のフルレンジと2機のウーファーをそれぞれ独立したチャンバーに搭載しています。ツイーターは搭載していませんが、小型で力強いフルレンジはそれなりの高音域を再生するに十分な性能を持っています。以下にメーカーの謳い文句を引用します。
高域用にツイーターを搭載することが一般的ですが、アンビオサウンドバー|ミニのドライバーデザインは本体のサイズやフォルムを含めて正確な高域を再現することができるよう設計。
Dolby Atmosや疑似サラウンド

繰り返しになりますが、個人的にはDolby Atmosのような疑似サラウンド的なものには実はあまり興味がなくて、それよりスピーカーそのものの素性の良さとか物理的な構造とか、そういうハードウェア設計からくる基本的な音の良さがあって、その上にプラスしてソフトウェアによるアレンジが「仕上げの味付け」としてある。そういう方針のプロダクトにグッとくるといいましょうか。まずは素の2chのステレオ音源を綺麗に再生して欲しいんです。対し、Ambeoは色々なソフトウェアエフェクトが満載で、面白いといえば面白いのですが、いろいろいじった挙げ句、私は結局飽きて、モードは「ニュートラル」に落ち着きました。ニュートラルは名前の通り素に近い自然なサウンドを聞かせてくれ、あらゆるソースにマッチすると思いますが、一般的にはデフォルトの「アダプティブ」にしておくとサウンドのタイプを自動で判断してモードを切り換えてくれますのでこちらがオススメかも。
気になった点
テレビはSONYブラビアに接続していますが、最初、音声の先頭が切れる症状に見舞われました。音声が僅か0.5秒程度無音になると、続く音声の先頭が切れてしまうのです。よく分かる例としては、CMとCMの継ぎ目は必ず1秒無音になりますが、その後の音声の先頭が必ず切れてしまいます。これは大変気になる症状で、CMならまだマシですが、無音のシーンでのセリフの切れ目などでも先頭が切れてしまいますので看過できません。映像ソースの切り替わりは無関係で、連続したシーンでも完全な無音があればその後が途切れます。しかし、これはテレビ側の音声フォーマットを変更することで解消出来ました。これを「仕様」とか「相性」で片付けられたらどうしようと、ちょっと焦りました。
どうやら音源の音声コーデックがPCMの場合に、この頭切れ(頭欠け)が発生するようです。地デジ放送の場合はブラビアの音声出力をPCM以外にすることで解消できましたが、HDDレコーダーやゲーム機器など、どうやってもPCMになってしまう機器ではどうにもならないようでした。アップデートで解消されることを望みます。
他にも、TVerなどの配信サービスで、番組とCMで音声フォーマットが切り替わるタイミングでも都度頭切れが発生しました。こちらのパターンはフォーマットの切り換えに時間がかかり、その間音が出ないようで欠ける時間も長いです。もちろんテレビとの相性にもよると思いますが、「相性」に甘んじることなくアップデートでの解消を目指して欲しいです。


もう一点。使用していない時、赤のLED表示になっていることが希にあり、そうなっているとテレビの電源を入れても音声が出ません。音量を上下どちらかに動かすと復帰するのでそれほど重大な問題ではないのですが、気持ち悪いのでファームウェアアップデートで解消して欲しいです。ちなみにこの赤LED表示は、システム的には「ミュート状態」を表しているそうですが、ボリュームを最小にする以外ミュート/解除という機能はないように見えますので、ちょっとどういうことかな?と思います。
最後に不満と言うほどではありませんが強いて言うならひとつだけ。機能とは無関係ですが、デザインはあまり良いとは思いません。表面にファブリックを使われると埃が掃除しにくいですし、全体的にも洗練されたデザインとは言いがたいです。かといって値段に見合わないチープな質感というわけではないのですが、これほど高額であるならば、他と一線を画す質感・デザインであっても良かったのでは?と思います。
まとめ
ここがいいいい!
- サウンドバーらしからぬ高音質で音楽鑑賞にも使える
- 様々なモードを好みでコントロールできる
- サイズがコンパクト
- 専用リモコンつき
ここはイマイチ…
- 標準価格が高すぎる
- オーディオコーデックやソースによって頭欠けする
- デザインはもうちょっと
個人的にはこのサイズのサウンドバーとして比較できる商品がない高クオリティなプロダクトであり、買って良かったと思っていますが、万人に勧められるかというとそれはないですね。まずメーカーの標準価格が到底見合っているとは思えません。ここまで払うんだったら「もはやピュアオーディオ機器不要!」と断言できるほどの高性能さを発揮して欲しい。ソフトウェア的な機能はずいぶん詰め込まれている感じはしますが、サウンドそのものは驚くほど優れているとまでは言えず、あくまでサウンドバーにしてはいい、という範囲です(このサイズでは最も良いと思っていますが)。もう一点は先述の「頭欠け」問題。これは予めメーカーに問い合わせるなりして、どういう状況で症状が発生し得るか確認したほうが後悔が少ないと思います。
ただし、コストがかかっているだけあって、死角は少ない印象です。SONOS Beamはマイルド一辺倒な音質で刺激が少なく、それが良い面でもあったのですが裏目に出ることもありました。AMBEO Miniはクリアでエッジの効いた高音から適量の張りのある低音を混濁なく繋がりよく再現してくれ、どんなソースも気持ちよく再生できるオールマイティな高性能サウンドバーです。
特にサウンドバーでの音楽再生に不満を持っている方には、実店舗で試聴できるとこがあったらぜひ聞いて欲しいサウンドバーです。


