FIAT PANDA 3を買って驚いたことのひとつが、ヘッドライトがON/OFFしかなく、ポジションランプのみを点灯させることができないことです。
今まで色んな車に乗り、輸入車(主にドイツ車)にも何台か乗ってきましたが、このような仕様の車が存在することを知らなかったので、少し驚きました。
夜間、対向車に道を譲る時などに、一時的にヘッドライトを消灯させて合図するようなシーンでヘッドライトをOFFにすると真っ暗になっちゃうわけです。
この記事を読んでいるPANDAオーナーの方なら、PANDA3には元々デイライト(Daytime Running Light)が装備されていて、日本仕様ではこの機能が無効化されているのはご存じかと思います。
日本でも2016年あたりから欧州基準のDRLが認可されるようになったことで、是非とも有効化したいと常々考えておりました。
日本仕様で無効化されているとはいえ、物理的に機構が削除されているはずも無く、おそらくコーディングの変更でどうにかなるだろうと思ってはいたものの、情報が無く悶々としておりましたが、この度コーディング変更でデイライトを有効化することができました。
日本でも欧州基準のデイライトが解禁されたこともあり、恐らく車検も問題ないだろうと考えています。(まだ点灯状態で車検を通したことはありません)
デイライトの設定書き換えは、AlfaOBDというAndroid用のAlfa/FIAT系向け車両診断アプリ(有料版)で行います。
今回の作業は下記ブログを大いに参考にさせて頂きました。
この場を借りて貴重な情報に感謝致します。
また、やり方や解釈が間違っている可能性も大いにあります。同様の結果が得られなかったり、いかなる不具合が生じても当方は責任を負いません。参考にされる場合は全て自己責任において行ってください。
AlfaOBDのバージョンは2.1.9.3です。Androidのバージョンは6.0.1、スマホはXPERIA SO-01Gを使用しています。
対象の車両はFIAT PANDA Easy(13909) 2013年式です。
車両側のECUにOBDで接続するためのスキャナー(ドングル)も必要です。
一般的に出回っているOBDドングル(スキャナー)の多くはFIATの電装系へのアクセスができないようで、ドングルはFIAT系に対応したものを調達する必要があります。これはebayなどで専用品や改造品を探すことができると思います。
また、電装系にアクセスするための変換ケーブルも用意する必要があります。
以前、このAlfaOBDを用いてデュアロジックとクラッチのキャリブレーションを行いました。
今回新たに電装系にもアクセス可能なFIAT向けのドングルと変換ケーブルを購入し、デイライトの点灯設定を実施します。
車両のOBDコネクタに、黄色の変換ケーブルを挟んでドングルを接続し、キーをON(MAR)にします。
ドングルを接続したらAlfaOBDを起動し、セッティングからドングルを指定します。
AlfaOBDのドングル設定から対応するインターフェースを設定します。私のはELM327 Bluetoothタイプなので、まんま「ELM327 Bluetooth」を選択。
「My Interface」からBluetoothのアイコンをタップするとBluetoothデバイスが表示されますのでELM327を選択します。
Bluetooth接続のドングルであれば、このペアリングで面倒な手間はないはずです。
My car で車両を選択します。私のPANDA3は以下の通り。
「SELECT CAR MODEL」は「PANDA 2012 (Type 319)」を選択。
「SELECT FUNCTION」は「BODY COMPUTER」を選択。
「SELECT CONTROL UNIT」は「Body Computer Delphi/Marelli Delphi Use YELLOW adapter」を選択。
接続してみます。
Code Card 番号を使ってログインするオプションがありますが、PANDAにはコードが記されたカードがないので、普通に「CONNECT」で接続します。
Yellow adapter を使っているのでOKをタップ。
「Connected to Body Computer Marelli」となれば接続成功。
右下の車のマークをタップします。
Active Diagnostics 画面の「Select Procedure to start」で「Car configuration change」を選択。
「Select option」をタップすると沢山の項目が出てきます。この中から「Daytime Running Light (DRL)」を選択。
Select Value を「Enable」に変更「START」「NEXT」をタップ。
「Procedure competed」となれば成功です。
DRLに関する項目がいくつか存在しますが、「Disable」になっていたのはこの項目のみで、他の「Daytime Running Lights (DRL) Menu Enable」、「Daytime Running Lights (DRL)/Turn Light Drop-Out」はEnableに設定しても「システムの同じ状態を選択しました。既にステータスは有効で変更は必要ありません。」のような表示がされ、既にEnableに設定されているようでした。
「Daytime Running Light (DRL)」以外のDRL関係の項目をEnableにしようとしても「既にEnableである」のような表示がされる。
もし、これらの項目が「Disable」になっていたら、同様の手順で「Enable」にした方がいいでしょう。
さて、これでとりあえずデイライトが点くようになります。
点灯状態を確認してみます。
デイライト部分は5Wと21Wのダブル球が仕込まれており、日本仕様では21W側が点灯することはありません。
イグニッションONで21W側のデイライトが輝かしく点灯!
日本の基準ではヘッドライトが消灯の時デイライトが点灯、ヘッドライトが点灯しているときはデイライト部分は消灯または減光されなくてはいけません。
ヘッドライトを点灯すると5W側の点灯(減光)になり、問題なく動作しています。
また、ヘッドライトだけでなく、フォグランプが点灯しているときも消灯または減光しなくてはならないそうです。
こちらも問題なく減光していました。
さらに、メーター内のメニューからデイライトをON/OFFできるようにします。
この工程を実行しなくても普通にデイライトの機能は保持されますが、実施することで車内の設定MENUにデイライトのON/OFFが加わり、いつでも切り替えができるようになります。
「Daytime Running Lights (DRL) Menu Enable」がEnableに設定されているか確認して下さい。
Active Diagnostics 画面から「PROXY alignment」を選択します。
「START」をタップ。
「NEXT」をタップ。
進行状況が表示されます。
書き込み完了。キーをOFFにして終了です。
(もし失敗したら、失敗したユニットのエラーをチェックしてから再度やれ、と書いてあります。)
めでたくMENUからON/OFFが自由自在に!
車検の時はOFFにしておいた方がいいのだろうか…。
少し気がかりなのは、あるイタリア車専門の整備工場でデイライトについて伺った際、「デイライトをコーディング変更で点灯させた場合、他の機能に支障が出る可能性がある」と聞いたことです。
個人的には今回の作業で他に影響が出ているとは考えにくいですが、絶対に大丈夫とも断言できません。
一生懸命書いてみたけど、需要なさそう。
ついでに…
せっかくデイライトが点くようになったので、純正のPhillipsのバルブからスタンレーのものに変えました。純正に比べて120%位の明るさになった気がします。色はあんまり変わらないです。
↓色温度を上げたいならこちらもいいかも。クロームコーティングされてる分、クリアバルブと比べれば暗いと思いますが。