
HUAWEI MateView 28.2インチ 4K+(ワイヤレス接続なしモデル/HSN-CAA)を M1 MacBook Air の外付けモニターとしてしばらく使用してみたのでレビューしたいと思います。
この製品の一番のポイントは3:2という特殊なアスペクトです。HUAWEI製品とのワイヤレス接続機能を盛り込んだモデル(HSN-CBA)もあるようですが、もちろんそんなのは要らないので、購入したのはワイヤレス接続なしモデルです。
普段1920 x 1200(WUXGA)等、16:10の外付けモニターやノートPCを使用していて、16:9のモニターを使用すると上下に狭く感じることがあります。私もその一人で、MacbookやWUXGAのモニターに慣れていると、どうしても縦に窮屈に感じることがあります。
横方向にワイドなモニターはたくさん発売されていますが、縦方向を補うコンセプトのものは人気や需要がないのかあまり見かけることがありませんよね。
横1920ドットのモニターであれば1920 x 1200ドットのモニターはまだいくつかありますが、4K(3840)解像度のモニターだとほぼ16:9が占めています。
「16:10 4K」で検索してもそのような仕様のモニターは現状見つかりませんでした。
がしかし!
16:9よりさらに縦に広い3:2 なら、このHUAWEI MateViewが叶えてくれます。解像度は3840 x 2560。もし4Kで16:10があったならその解像度は3840 x 2400ですから、さらに160px上下に広いのです。このマニアックなアスペクトが一部で評判となっている模様。
画面サイズが28.2インチとなっていますが、27インチとの差は縦方向に伸びた分です。本体の幅は59.1cmで一般的な27インチと変わらないか、若干狭いくらい。
16:10大好きな古い人間?の私にはうってつけ。
スペックとか
サイズ | 28.2インチ |
アスペクト比 | 3:2 |
解像度 | 3840 x 2560 |
リフレッシュレート | 60 Hz |
色域 | 98%DCI-P3(標準)/ 100%sRGBをカバー |
色 | 10億7000万 |
色の精度 | ΔE<2 |
HDR | HDR400 |
輝度 | 500ニット(標準) |
ローブルーライト&フリッカーフリー | テュフラインランドのローブルーライトおよび フリッカーフリー認証 |
コントラスト比 | 1200:1(標準) |
画面占有率 | 94% |
では、気になる使用感について述べます。
いいところ
当たり前ですが縦に広い
これは唯一無二のアドバンテージ。ウィンドウを複数開いての作業が格段にしやすいです。縦に広すぎて若干持て余す感じはあるんですが、持て余したスペースからほかのウインドウを探しやすいので、わざわざデュアルモニターするほどでもない作業量にちょうど良いのです。3:2というアスペクトはMacのメニューバーとドックの高さを差し引いた残りを16:10でフルに使えるイメージで、効率が上がります。そもそも外部モニターを一枚しか追加できないMacbookAirにはほぼ唯一の選択かも。

空のエクセルを開いたところ。一般的な16:9に比べ、だいぶ縦に広いことがおわかりいただけると思います。
デザインがそこそこクール
狙ってるなーという感じのデザインは悪くはないです。Appleっぽいという人もいますが、SONYっぽいと個人的には思います。モニターにしては洗練されていると思いますが、萌えるほど美しいとは思いません。無茶な希望かもしれませんが、背面の「HUAWEI」は要らなかった。

アルミの質感は良く、比較的精巧な仕上げとなっていて満足感は高いと思いますが、Apple製品のような細部の緻密さはないです。また、薄くスマートなデザインですが大きさゆえの存在感はそれなりにあります。
ディスプレイ部分の薄さは何と約9mm!薄く感じさせるデザインはよくありますがフラットで約9mmはすごいです。機能をスタンドと分担しているとはいえ、パネルだけでもよくこの薄さに収めたなと感心します。

OSDメニューが使いやすい
この手のインターフェースで使いやすいと思ったのは初めてです。私はPCでの使用のみで、入力の切り替えすらしないので、一度定まってしまえばあまりいじらなくなると思いますが、ここにコストをかけてまで拘ったのはすごいです。

↑ベゼル下部のタッチバー的なセンサーに触れて操作するOSDメニュー。タッチするとメニューが現れますが、メニュー非表示の時にいきなりスライド(スワイプ)させると音量の調整ができます。
ちなみに、輝度・音量をMacのメニューやキーボードから変更できるソフト「MonitorContorol」というアプリケーションがオススメです。

スピーカー内蔵
低音はMacbookAir内蔵のスピーカーの方が出ますが、スタンドに前向きに配置されたスピーカーは中音がそこそこの圧で鳴るので、Youtubeなどの音声コンテンツを再生するにはクラムシェルモードの閉じたMacから鳴る音より聞き取りやすく重宝します。音質はそこらへんのポータブルラジオ程度。マイクも内蔵しているのでビデオ通話にもよさげ。マイクはスタンドに二つ内蔵されているそうですが、具体的にどの位置にあるのかは不明。

Appleキーボードとマウスにぴったり
狙ったんでしょう。
イマイチなとこ
VESAアームに非対応
これはスタンドにハブやスピーカー機能を搭載するというコンセプトのため犠牲になったわけですが、ハブはディスプレイ本体にポートをつければいいし、スピーカーはなくていいからVESAマウント対応タイプも是非出して欲しいところです。機能や強度面でディスプレイ本体が分厚くなっても、需要は必ずあると思います。
このサイズのモニターを奥行き60cmの机で使うのは若干大きくて、「アームを使って目一杯奥に配置したい!」とつくづく思うんです。スタンドを机の奥ギリギリに配置しても、画面はどうしても10cmちょっと手前に来てしまいますので。
価格
以前は無駄なワイヤレス接続満載だったモデル(HSN-CBA)しかなかったようですが、のちに廉価なワイヤレス接続なしモデル(HSN-CAA)が加わりました。それでも安くはなく、7万円台後半というプライスはちょっと引いてしまいます。ファーウェイ的に入魂のモニターなのは伝わってきますが、手の込んだスタンドや素材など、可能なコストカットをしつつ、一般的なVESAアームに対応したモデルを相応の価格で出せばもっと売れそうな気がします。
私はヤフーショッピングのHUAWEI公式ストアで定期的に行われる10%OFFの時に買いました。ワイモバイルユーザーなので、諸々約15,000PayPayポイントの付与があったので購入に踏み切りましたが、それでも実質56,800円くらいしますから、安くはないです。
スタンドの可動範囲
回転しないのは諦めるとして、下方向にもう3〜4cm…いや5cm下がると良かった。一番下まで下げても机からの高さは約72mmほど。

とにかく画面が縦方向に広いので、視野はできれば下方向に広げたい気持ちになります。上を向くのは疲れるので。椅子を高めにするなどすればいずれ慣れるのかもしれません。そういった意味でもやはりアームマウントしたくなります。アームマウントであれば極限まで下に下げられます。
スタンドで設置するなら、同じピクセル解像度で27インチくらいのサイズ感だったら一般的な机の奥行きにジャストだった気がします。
USBハブのポート数が少ない
USB-Cポートも一つ欲しかった。

上から、USB-Aポートx2、PC本体を繋ぐUSB-Cポートx1、3.5mmオーディオジャック、電源スイッチ。
このUSB-Aポート、後述しますが残念ながらUSB2.0と認識します。
HDMI入力時のリフレッシュレートが50Hz
使わないので個人的には割とどうでもいいのですが、そういうことらしいです。規格上の問題でしょうか。
普通だったとこ
液晶パネルはごく普通といった感じです。明るく視野角も広めですが、モニター側での調整が限られていて、あまり細かく設定できません。色味はほんの少しだけ赤っぽい感じがします。コントラストは特別深くもなく標準的なIPS液晶という感じ。総じて感動する綺麗さ、というものは持ち合わせていません。
謎なとこ
USBハブが2.0になってしまう
接続する機器によるのかもしれませんが、M1 Macbook Air をモニター付属のUSB-Cケーブル一本で接続した場合、カタログスペック上はUSB3のはずのUSB−AハブポートがなぜかUSB2.0としてしか機能しません。USB-LANアダプタ(1Gbps対応)を経由して有線LAN接続しても遅くてガッカリです。モニター側に設定があるのだと思って見回しましたが、設定項目自体が極端に少なく、USBハブの速度に関する設定はありませんでした。ちなみにリフレッシュレートを30Hzに落としても、USBハブは2.0と認識されたままで速度も出ませんでした。ネットにも情報がなくどうしたものやら。

サポートに問い合わせたところ、要約すると「仕様」だそうで、USB-AポートをUSB3として使用したければ映像をHDMIかミニディスプレイポートに接続せよとのこと。それだとAirの電源が別に必要になりケーブル一本で完結する良さが失われるし、USB-Cが2ポートのみのAirでは煩雑な接続になってしまいます。しかもHDMIでは50Hzになっちゃうし。
そんなこと購入前に得られる情報の中にあったかなー。納得いきません。
サポートに問い合わせた結果、以下のような記載がどこかにあるようです。
規格に詳しくないので分かりませんが、他の4Kディスプレイでできてることがどうしてできんかな、という気はします。4K+だからできんのかしら。それともDP1.2だから?よくわからんけど。
ちなみにディスプレイとの接続ケーブルをThunderbolt4ケーブルに変えても状況は同じでした。

↑スタンド背面の接続端子。左から、モニター用電源、ミニディスプレイポート入力、HDMI入力。
ちなみにUSB-C接続したPCの電源が切れると、USBハブの通電も切れます。PCをシャットダウンした後ハブに接続したマジックマウス等を充電しておく、というような使い方ができません。設定で変更することもできません。
【訂正】PCをシャットダウンしてもUSB-Aポートには0.5Aほどの電力が供給されていました。iPhoneが充電されないので給電されていないと思い込んでいました。
音声の頭が途切れる
音声出力をMateViewにしていると、音声の出始めコンマ数秒再生されません。短い警告音だったりすると全く音が鳴らないこともあります。これは直して欲しいです。
総評
イマイチなとこ、謎なとこを差し引いても、唯一無二の3:2アスペクトですから、これは代えがたい価値があります。この価値にこの対価を払ってもいいと思えるなら間違いなく「買い」でしょう。
このアスペクトに慣れてしまうと、市場を独占する16:9にはもう戻れないんじゃないかという恐怖感はあります。この製品がきっかけとなって、3:2もしくは16:10アスペクトの4Kパネルがもっと普及し、16:9や横長モニターばかりじゃなく新しいモニター市場が開拓されたらうれしいなと思います。
【追記】
メーカー公式通販でも姿を消しているので、どうやら在庫限りで終売のようです。ニッチゆえ後継機種が出るか微妙ですね。どうしても欲しい方は在庫が残っていたら購入しておいた方がいいかもしれません。
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