本記事はメーカーより商品提供をうけ執筆しています
以前 Anker Soundcore Sleep A10 でワイヤレス寝ホンの快適さについて書きました。
Soundcore Sleep A10 は耳栓+ワイヤレスイヤホンという、まさに寝ホンに特化した製品で、実際その役目を存分に果たしてくれます。
しかし、世の中のワイヤレスイヤホンには通話ができたり、アクティブノイズキャンセル(ANC)などの機能を搭載したものがあります。
Anker Soundcore Sleep A10 では「寝ホン専用」という位置づけでしたが、今回レビューする 1MORE ComfoBudsMINI は睡眠用イヤホン(寝ホン)でありながら、通話やノイズキャンセルまで搭載した希少かつ高機能なモデル。これはもしかして普段使いと寝ホンを兼用できるポテンシャルを秘めているのでは!と期待を込めて試してみました。
外観
睡眠用イヤホンと銘打つだけあって本体は非常に軽量コンパクトです。
愛用の final E3000 と比較。
ケースもとても小さいです。Soundcore Sleep A10 のケースも大きいとは思いませんでしたが、こちらは手で握って隠れるほど小さいです。さらにワイヤレス充電Qiにも対応しています。
アプリ
本体の設定は専用アプリ「1MORE MUSIC」より行います。
リスニングモードは「ノイズリダクション」「パススルー(外音取込)」「OFF」、さらにノイズリダクションは「ディープ」「マイルド」「WNR(風切り音低減)」から選べます。
本体タップの動作設定もカスタマイズできます。
「スマート再生」はイヤホンを耳から脱着した際の自動一時停止・再生を設定できます。左右のタップ動作設定も個別に設定できます。
SoundIDと呼ばれる、音質をパーソナライズできる機能もあります。
SoundIDによるパーソナライズは7種類のサンプル曲を聴きながら、数ステップのA/Bテストを進めて自分好みの音にパーソナライズできます。
しかし、私のやり方が悪いのか、何度かやってみましたが最終的に好みの音にはならず、普通にイコライザーとプリセットを用意してくれた方が良かったです。
寝ホンとしてどうか
まずは寝ホンとしての使用感ですが、これは抜群にいいですね。Soundcore Sleep A10 は良くも悪くも「耳栓」感が強かったのですが、ComfoBudsMINI はふわっとソフトな装着感のイヤホンです。もちろん横向き寝でも痛くならず圧迫感もほとんどなく、音が聞こえにくくなることもありません。
ソフトな装着感ゆえ、寝ている間に外れてしまうような感覚がしますが、私の場合そのようなことは全くありませんでした。耳の形と寝相にもよると思いますが。
連続再生時間はイヤホン単体で6時間ですから、私が就寝時に聴いている1時間ちょっとのプレイリストには十分です。小型のワイヤレスイヤホンとしても及第点ではないでしょうか。
また、寝ホンならではの機能として、Soundcore Sleep A10 同様、あらかじめ用意された30種類の環境音をイヤホンにアップロードして再生することができます(アップロードできるのは最大6種類)。
物理的な遮音性はあまり高くないので、耳栓的な感触が好みの場合は Soundcore Sleep A10 のほうが密閉感が感じられていいかもしれません。個人的にももう少し遮音性が高いと良いと感じました。
プレイリストの再生が終わっても、Soundcore Sleep A10 のように自動でスリープに移行するような機能はなく、バッテリーがなくなるまで動作し続けるので、ノイズキャンセルだけでずっと使用することもできます。ただ、バッテリーが切れそうになった時と切れた時にお知らせする音が鳴ってしまうのは睡眠イヤホンとしてどうかと思うので改善して欲しいです(※追記あり)。
【追記:2023/05/29】
バッテリー切れの通知音について、隠し機能がありました。
アプリのホーム画面より右上のロゴをタップ。するとabout画面のような項目の中に「実験的機能」というのがあります。この中に「睡眠検知」というものがあり、睡眠時にこれをONにしておくと、通知音が鳴りません。説明によると…
と書かれています。実際にこれをONにしていつものプレイリストを再生して就寝してみたところ、途中でバッテリーの通知音は鳴らず、いつの間にかイヤホンがOFF(スリープのような状態)になっており、就寝時に100%だったバッテリーは起床時点で80%残っていました。
「ヒーリング音楽を約40分再生した後にユーザーが非アクティブ状態になると」という部分がよく分かりませんが、とりあえず私の環境では、いつもの使い方でバッテリー通知音が鳴らなくなり、これによって起こされることなく寝ホンとしての欠点はなくなりました。
普段使いのイヤホンとしてどうか
今回の課題である「寝ホンと普段使いを両立できるか?」についてですが、私の結論としては「条件付きでできる」です。
条件としては、やはり音質はある程度の妥協が必要ということ。またまた愛用の final E3000 を引き合いに出して申し訳ないのですが、両者を聞き比べてしまうとやはり違いは顕著と言わざるを得ません。E3000 の解像感、音場の広さ、透き通るようなきめ細かく伸びやかな高音、奥深く広がる豊かな低音…どこをとっても勝ることはありません。ワイヤレスゆえ、という部分もあるでしょう。
しかし、ComfoBudsMINI も決して悪くはないです。健闘しています。Soundcore Sleep A10 の場合は鼻をつまんだような抜けの悪い音で明らかに普段使いには力不足でしたが、ComfoBudsMINI は、じっくり静かに音楽鑑賞するためのクオリティこそないものの、ポップスやロック等のながら聴きであれば、一般的には音質に気になるほどの不満が出ることは少ないと思います。クラッシックやアコースティック音楽に聴き入るほどの実力までは備えていない、という印象です。
低音から高音までそつなく出ていますし、フラットでオールマイティなチューニングで、不自然に強調された低音や刺さるような高音もなく、聞き疲れしにくく長時間の使用にも向いていると思います。再生機側のイコライザーで好みに設定すれば普通に聴きやすいイヤホンとして使えると思います。(私はイコライザーなしでも良い感じでした。)
通勤電車など、ノイズリダクションを必要とするような環境で音楽を聴く分には十分すぎる音質を提供してくれるので、通勤通学から家でのリラックスタイム、果ては寝ホンに至るまで一日中使える一定のクオリティを持っていると思えました。
ノイズキャンセルについて
公称値-40dbのノイズキャンセリングについても一定の効果を感じられます。ANCのモードは「ディープ」「マイルド」「WNR(風切り音低減)」の3種類があり、「ディープ」に設定すると、換気扇やサーキュレーターなどの「ゴーッ」という連続音はスッと消えます。電車内でも使用してみましたが効果的にノイズを除去してくれました。地下鉄ではキャンセル能力が物足りない印象がありましたが、地上を走る電車の走行音はかなり軽減されます。繁華街など雑踏での消音も効果的で、外したときに雑音の大きさに驚くほどでした。バスでも使用してみましたが、こちらはアイドリング時に低音が籠もるように増幅されてしまうことがあり、気持ち悪かったです。一定の速度で走行している分には効果的でした。また、連続ではない、道路を行き交うランダムな自動車の騒音などではうまく消音できていないような印象でした。両耳がバランス良く消音できていないような。フィッティングの問題かも知れません。また、ANCモードを「ディープ」に設定した場合、「サー…」というホワイトノイズがやや多めに感じられました。
モードを「マイルド」に設定するとノイズキャンセルの効きは弱くなりますが、より自然な聞こえ方となり、ANC特有のツンとした気圧の変わるような感覚が苦手な方や、長時間ノイズキャンセル状態を続けると耳が疲れてしまうような場合に有効かと思いました。
「WNR(風切り音軽減)」はその名の通り、ランニング時などに風切り音がパリパリ聞こえてしまうのを軽減できます。その代わり他のノイズはあまり軽減されなくなります。また、「外音取り込みモード」も搭載されているので、一通りの機能は網羅されていますね。
ノイズリダクションの使用時は音質にも変化が感じられました。ONにすると中音が強調されたカマボコ型になるようで、個人的にはOFF時の音質の方が好みでした。
と、偉そうなことを言っていますが、ワタクシ現時点で他にノイズキャンセリングイヤホンを所有しておらず、その差はよく分かっておりません。Apple AirPods Pro や BOSE等の高級ノイズキャンセルイヤホンなどはどんな状況でも自然な消音ができるのでしょうか。
ノイズキャンセリングについて、この製品を使った限りでは電気的に消音するよりアクティブノイズキャンセルより、物理的に遮音するパッシブノイズキャンセルの方が個人的には好みかなと感じました。
結論
通勤・通学、騒がしい場所で、家で、寝ホンとしても。1MORE ComfoBudsMINI は音質に大きな不満もなく、一日中使えるコスパの良い高機能ノイズキャンセリングイヤホンとして普段使いと寝ホンを両立もできる優等生でした。うるさいことを言わなければ、もうこれだけでいいんじゃないか?ってほど。とても気に入りました。
これほどの機能と使い勝手の良さゆえ、さらにマルチポイントにも対応してくれたらパソコンでのリモート会議にもシームレスに使えてさらに良かったかも。というのは欲張りすぎでしょうか。
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